久しぶりに和子さんに会った
和子さんは花屋さんの看板娘だ
店先の日向でじっと目を細めている
「和子さん、ひなたぼっこですか…」 と私は尋ねる
和子さんはちょっと私のほうを見ただけで、何も言わずにまた目を細めてしまった
「いいな和子さんは・・・受験勉強しなくてすむんだもん」
和子さんの頭をなでてみる
やわらかい毛が気持ちいい そしてちょっと暖かい 日向の暖かさだ
とげとげしていた気持ちが少しづつ溶けていく・・・
夕べ 勉強に疲れたのでちょっと携帯でメ-ルをしていたら、
お母さんに 「あんた、携帯ばかりいじってないで、真面目に勉強したら!!」と怒鳴られた
私もキレて 「うっせ-な-、ちゃんとやってんじゃん」「ほっといてくんない!!」と叫ぶ
それからしばらく壮絶バトル・・・「もう勉強なんかしない!!」と叫んで、
私はドアを思い切り閉めた
今朝もお母さんと ほとんど口をきかずに学校へ行った
家を出る時、お母さんは私の顔を見て 何か言いたそうだったけど
何も言わなかった 悲しそうな目だった
私も悲しかった 心がとげとげして
和子さんの頭から伝わってくる暖かさが どんどん体の中に広がってゆく
「なんで私は、あんなにとげとげ、いらいらしてたんだろ・・・」
「お母さん、心配してくれてありがとう・・・」 なんて言えない ぜったいムリ
「でも もっともっと勉強しよう」
和子さんになら言えるな 「和子さん ありがとう」
和子さんは何も言わずに 日向の中で目を細めている
志望校の入試まであと19日・・・